わたくしが「離婚と子どもへの影響」のポストを書いていて想像するのは、読者の方の中に、「ここに書かれていることは一般論だったり学術的に正しいことだったりするかも知れないが、私たち夫婦(元夫婦)はお互いにこんな風に関わることは出来ない!」という風に、苦しい思いでお読みになる方がいらっしゃるのではないかということです。
もしこういったご指摘があったとしたら、それはその通りだと思います。つまり、正しいことが分かっていても、それをその通りに実行出来るかどうかは別問題です。
「子どもの安心感を高めて、不安を和らげて、離婚による発達への悪影響を出来る限り取り除くためには、離婚した両親であっても協力しあわないといけない」
そういう風に出来ればよいと思うが、しかし元夫はほとんど連絡がつかないし、養育費の振り込みも遅れたり途絶えたりするし、怒りを禁じえない……。
あるいは、元妻にはすでに新しいパートナーがいて浮かれていて、十分に子どものことをケアしているとは思えない。こんなこと(あるいは、もっと酷いこと)が起こっているのが現実です。
さらに踏み込んで言えば、ここに挙げたような元夫や元妻がそのような行動をとるのは、そうなってしかるべき理由やそうならざるを得ない理由が必ずあるのです。家族の歴史をたどってみると、一見加害者に見える元夫や元妻自身が、実は被害者であったというような経験が発見されることもたくさんあります。
ですから、今の自分の状況で何が出来るのかを、現状に即した対応を検討していくことが重要です。カウンセリングの中で、そういったことを丁寧に検討していくわけです。
どういった環境を作ることが、子どもの健やかな成長に役立ち、また子どもの権利を奪わずに済むか。そのためには何が必要か。そういった「理想形」を理解することで、大きな方針が立てられます。
その方針に向かって、今出来ることを一つずつ進めていくわけです(これには、途中でくじけそうになったり、投げ出したくなったり、疲れたり自己嫌悪したりすることへの手当ても含まれます)。
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