前回のポストの続きです。
親の離婚によって、子どもはたくさんのものを失うことになります。
別居親が家を出ていきます。また、同居親は、父親であれ母親であれ、生活のために働かなければならないので、仕事に出かけます。その結果、親と一緒に過ごせる時間が極端に少なくなります。
また、離婚前と比べて、経済状態が悪化する場合が多いでしょう。炊事などにかけられる労力が減ってしまうこともあります。子どもは、自分に向けられている愛情が減ってしまったと感じるでしょう。
離婚に伴って、転居することも少なくありません。そうすると、住み慣れた環境や学校の友達を失うことがあります。引っ越しは、子どもに深刻な心理的負担を与えることが少なくありません。
こうして、色々なものを失ったり奪われたりした子どもは、嘘をついたり作り話をしたり、お金やものを盗んだり、過食をしたりすることがあります。これらの背景には共通して、情緒的飢餓感があると考えられています。
何かが足りないと感じていて、それを別のものによって埋めようとしているのです。頻繁にお金を盗む子どもを叱責しても、状況は改善しません。その背景にある、情緒的飢餓感を満たしてあげることが必要です。子どもの望みに注意を向けるところからはじめます。
同居親が離婚後、疲弊したり抑うつ状態になったりすると、子どもの情緒的飢餓感へ対応することが難しくなり、離婚による悪影響を長期にわたって引きずることになります。なので、離婚後の親に対する支援も、離婚後の子どもへの支援と同じように大切なことです。
別居親の協力が得られる場合には、定期的な面会交流を設けることで、情緒的飢餓感への対応を行いやすくなるでしょう。「離婚をして別居親になったが、親であることには変わりなく、子どものことを大切に思っている」ということを、根気よく示し続けてください。
参考文献:棚瀬一代(2010) 離婚で壊れる子どもたち 光文社新書
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