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間主観性と心理療法 3

 心理療法は、そもそもは個人の問題について、相談者と治療者が1:1で面接をして取り組むものでした。しかし今や、相談者が複数の場合、治療者が複数の場合、相談者も治療者も複数の場合など、様々な形式がとられています。


 夫婦間に暴力がある場合の夫婦面接など、一緒に面接を行ったらその後に酷いことが起こりそうだと予測される場合を除き、関係性に関する相談をお受けする場合には、基本的には当該関係者に最初から同席をしていただいた上で面接を進めていきます。それは、関係性が間主観的な概念だからです。


 Aさんが「私とBさんの関係について、関係を改善したい」と相談を依頼される場合には、AさんとBさんの関係は間主観的なものですから、Aさんから見た関係はどういったものか、それはBさんから見た関係と同じなのか異なるのか、細かく検討する必要があります。そもそも、BさんにもAさんと同じニーズがあるのかないのか、そこから話が始まります。


 言い換えると、AさんとBさんの関係は間主観的なものであり、その責任の所在はAさんとBさんの双方にある(AさんとBさんの主観が相互に独立するものではなく、影響を及ぼし合うものである)ことから、AさんとBさんがともに同席している状況で、関係の検討および修復という作業を進めることになるわけです。


 繰り返しになりますが、暴力のある関係などを扱う際には、最初から同席で相談をお受けするというのは禁忌になります。

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