前回のポストでは、感情労働について概観しました。
ここで、非常に興味深い論文をご紹介したいと思います。三橋(2008)は、感情労働とバーンアウトの関連について、「感情労働をすることで燃え尽きるという因果連関に強い疑義が呈された」と主張します。感情労働をすることそれ自体ではなく、「感情労働をしたいのに出来ない状況が、燃え尽きの現象の背景に見えてきた」ということです。
また、「感情労働をしたいのに出来ずに、燃え尽きに至る過程は多様だった(三橋, 2008)」ということです。どう感情労働すればよいのかわからない、感情労働が出来なくなる、心が対処しきれなくなる、といった例が示されます。
感情労働そのものが、即座に心理的な負担になる訳ではありません。様々な理由によって、それをしたいのに出来ないということが負担になるのです。
引用文献:三橋(2008)感情労働で燃え尽きたのか? 感情労働とバーンアウトの連関
を経験的に検証する.社会学評論, 58(4), 576-592.
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