top of page
  • ypi-yabugaki

報酬と内発的動機付け 2

 ところで、その後の研究から、内発的動機付けは自己有能感と自己決定感から構成されていることが分かりました。


 自己有能感とは、自分が有能であるという感覚です。「出来る」と思える、ということです。ヴァイオリンなんて弾けないけど、触ってみたら音くらいでるでしょう、と思えたら、触ってみるでしょう。


 一方で、パソコンなんて分からない、触ったら壊してしまうんじゃないか、自分には到底扱えない、と思ったら触らないでしょう。


 また、自己決定感とは、自分で決めているという感覚です。人からやりなさいと言われているのではなく、自分でやろうと決めてやっているということです。


 自己有能感と自己決定感を低めないことが重要です。


「肩をたたいたら100円あげる」という風に報酬を与えてしまうと、自己決定感が損なわれてしまいます。自分がやりたくてやっているのではなく、「お金が欲しければやりなさい」と選択を迫られることになるのです。


参考文献:碓井真史(1992)内発的動機付けに及ぼす自己有能感と自己決定感の効果 

   社会心理学研究, 7(2), 85-91.

閲覧数:30回0件のコメント

最新記事

すべて表示

報酬と内発的動機付け 1

ちょっと資料は古いのですが、面白かったので書きます。 自発的に何かをしている人に対して、報酬を与えてしまったら、自発的にやらなくなった、という話です。 お母さんの肩をたたいてあげたとしましょう。特に理由や目的はなくて、そうしてあげたいからしたのです。が、お母さんは、お礼にお小遣いといって100円をくれました。 後日、また肩をたたいてあげたのですが、その時は100円をもらえませんでした。そうすると、

感情労働 emotional labor 3

感情労働が心に負担を与えているという現象理解のキモは、「感情労働をしたいと思っているのに出来ない」というポイントでした。 であれば、直観的には、「感情労働をしたいと思っているのに出来ない」要因、すなわち阻害要因を取り除こうと考えられます。 そのためには、阻害要因を特定する必要があります。 が、これがなかなか難しいというのが、実感するところです。 特に、組織にまつわる仕組みや対人関係上のトラブルは、

感情労働 emotional labor 2

前回のポストでは、感情労働について概観しました。 ここで、非常に興味深い論文をご紹介したいと思います。三橋(2008)は、感情労働とバーンアウトの関連について、「感情労働をすることで燃え尽きるという因果連関に強い疑義が呈された」と主張します。感情労働をすることそれ自体ではなく、「感情労働をしたいのに出来ない状況が、燃え尽きの現象の背景に見えてきた」ということです。 また、「感情労働をしたいのに出来

bottom of page