逆境的小児期体験:ACEs
- ypi-yabugaki
- 2020年8月4日
- 読了時間: 2分
更新日:2020年9月12日
逆境的小児期体験というものがあります。Adverse Childhood Experiences の頭文字をとって、ACEs と呼ばれます。 ACEs に関する最初の研究は1998年に出版されました。その後、2015年までに、70を超える研究が発表されています。
ACEs とは、18歳までの間にトラウマ的な出来事を体験するというものです。トラウマ的な出来事とは、暴力、虐待、家庭内暴力を目撃するといった経験や、家族メンバーが自殺をする(自殺企図、すなわち自殺を試みることも含む)といった経験を指します。
トラウマ的な出来事には、安心感や安定感、他者とつながる感覚を弱めてしまうような環境で子ども時代を過ごすことも含まれます。例えば、物質の乱用や精神疾患を抱えた人がいる家庭で育つことが該当します。両親の別離や、両親・きょうだい・その他の家族メンバーの収監などによる不安定な環境も該当します。
アメリカの研究では、62%の成人がACE を経験しており、約58%の成人が2つ以上のACEs を、約25%の成人が3つ以上のACEs を経験していると言われています。つまり、ACEs を経験していることは、決して珍しいことではないということです。
ACEs は、健康、行動、そして人生そのものに悪影響を及ぼすという研究結果が得られています。
健康面では、肥満、糖尿病、うつ病、自殺企図、HIV を含む性感染症、10代での妊娠、心疾患、がん、発作、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、骨折に、行動面では、喫煙、飲酒、薬物使用に、そして教育水準や職業、生涯賃金といった人生の側面にネガティヴな影響を与えることが知られています。
2015年までのACEs 研究からは、次のようなことが示されています。
・子ども時代のトラウマ経験は、一般的なことがらである。社会経済的ステータスが中流階級の人や、大学レベルの教育を受けた人たちの間にもよく見られる。
・子ども時代のトラウマ経験は、うつ病、自殺、暴力、暴力の被害者になることと同じように、大人になってからの慢性疾患に直接的につながる。
・トラウマ経験の種類が増えると、健康上の問題、社会生活上の問題、そして情緒的な問題のリスクが増える。
・多くの人は1種類以上のトラウマを経験している。性虐待、もしくは言葉による虐待のみを受けるということはほとんどない。
参考文献:Centers for Disease Control and Prevention (2019). Preventing Adverse Childhood Experiences: Leveraging the Best Available Evidence. Atlanta, GA: National Center for Injury Prevention and Control, Centers for Disease Control and Prevention.
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