気分が落ち込みやすい人がいます。過去にあった出来事も、暗いものがたくさん浮かんできて、楽しかった記憶、明るい記憶は思い出しづらいという方もおられます。
記憶は、現在の状況とかけ離れたものよりも、現在の状況に関係するものの方が思い出しやすい、ということが知られています。
真夏の炎天下で、汗をだらだらと流しながら息を切らしている時に、薄暗い真冬の山で寒さに凍えながら道に迷っている記憶を思い出すのは、相当な至難の業です。
ですから、心地よい思い出、楽しかった出来事を思い出そうとする時は、まず部屋の環境を整えることがたいせつな準備になります。部屋を適度に暖かくして、幸せな香りのする温かい飲み物を用意する――そんな些細なことでも、楽しかったことや嬉しかったことなどを思い出すのが容易になります。
私の研究室に、仄かに香るルームフレグランスを置いているのは、そういう理由によります。
辛いことがあって落ち込んだり、自分の人生は嫌な出来事に満ちていると感じている方は、リラックス出来る環境をつくるということを意識してみて下さい。
ちなみに、ハリーポッターの作品の中で、「守護霊の呪文」というものがあります。この呪文を成功させるためには、過去の温かい記憶を思い出しながら唱える必要があります。気心の知れた仲間の魔法使いとバタービールでも飲みながら呪文を唱えたら、うまくいくかも知れませんね。少なくとも、吸魂鬼に襲われている最中よりは、成功確率が上がるでしょう。
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