両親の離婚が子どもに与える影響について考える上で、トラウマに目を向けることが必要不可欠です。
法律で定められた離婚事由は5つあります。1.不貞行為、2.悪意の遺棄、3.配偶者の生死不明(3年以上)、4.配偶者の精神疾患、5.その他の婚姻を継続しがたい重大な事由、です。
2の「悪意の破棄」には、①理由なく同居を拒否する、②生活費は渡しているが不倫相手と同居している、③別居しているが生活費を振り込まない、④収入があるのに配偶者に生活費を渡さない、⑤日常的に家出をする、⑥同居している姑との関係が悪く、配偶者が実家から帰ってこない、⑦DVなどによって配偶者が家にいられない状況を意図的に作っている、といったケースが当てはまります。
また、5の「その他~」は、①性格の不一致、②DVやモラハラ、③家事や育児に協力しない、④両親や親族間の不和・嫁姑の不和、⑤ギャンブルなどによる浪費や怠惰、⑥性的な欲求不満、性的異常、⑦犯罪による服役、などが含まれます。
こうしてみると、離婚事由に関連する出来事として、両親間の暴力や激しい喧嘩、子どもへの暴力や虐待、ネグレクトが起こっている可能性があります。子どもが直接的に被害者になるケースだけではなくて、例えば両親が激しい喧嘩をしているのを子どもが日常的に目撃するというような場合も、子どもにとって非常に大きなストレスがかかり、トラウマ的体験となります。
こうした「不適切な養育環境」と呼ばれる状態下で、子どもは慢性反復的なトラウマ体験を重ねることは、その時点のみならず、その後の子どもの精神発達に大きな悪影響を及ぼします。
ですから、離婚の問題を考える上で、子どものトラウマは一つの重要なテーマとなるのです。
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