抵抗という概念があります。大雑把に言えば、治療的に意味があることをしようと治療者が働きかけるのに対して、相談者がそれを受け入れなかったり拒否したりすることを指します。
したがって、この言葉の背景には、「治療者は正しいことを知っている、相談者はそれをわかっていない、あるいは何らかの理由によって実行出来ない」という意味合いが含まれます。
「オレが治してやろうと言っているのに、どうして言うことをきかないんだ」などというと言いすぎですが、そういった性質のニュアンスが含まれているわけです。
なので、私は抵抗という考え方は好みません。
治療が難航して、「これは相談者の抵抗かしら」という考えが浮かんだ際には、代わりに、「治療者は相談者のニーズを正しく汲み取れていない、何か見落としていることがあるかも知れない」という風に考え直すようにしています。
治療者が何かを先走っていて、相談者のニーズを汲み取り切れていないから、こういった状況が生まれているのだ、という文脈で状況を捉え直すのです。そうすると、新たに見えてくることがあります。
「治療者はAということをしたいと思っているが、相談者は受け入れがたいと思っている。何が起こっているのだろうか」ということをテーマに、相談者と話し合うこともあります。
いずれにせよ、相談者のニーズが最も優先されるべき事項だと考えます。
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