Baucom, et al.(2009)では、裏切り行為をネガティヴでトラウマ的な出来事として定義しています。これは、パートナーの基本的信頼感を破壊するものです。パートナーは、自分自身について、パートナーについて、そしてパートナーとの関係について、信用することが出来なくなります。
つまり、自分たちは信頼出来る二人であること、二人の関係は安全で安心出来るものであること、そしてお互いに対する判断を信用し合える二人であること、といったことが、浮気によって壊されてしまいます。
すべての浮気がトラウマ的なものとして経験される訳ではありません。が、一般的には、浮気はトラウマ的な体験として概念化されます。このように捉えることで、効果的なカップルセラピーを計画するための有効な示唆が得られます。
例えば、AさんのパートナーであるBさんが浮気をしたとしましょう。そのことが露見した後、Aさんは何度も繰り返し、Bさんに浮気について質問するでしょう。何が起こったのか? 浮気に至った経緯は?(そして、Aさんは自分自身にも問い続けるでしょう。Bさんはまだ私を愛しているのか? 私はBさんのことを信用出来るのか?)
こういった現象は、トラウマからの回復プロセスとして捉えることが出来ます。
すなわち、1.浮気による影響への拘りと没頭、2.浮気が起こった理由とその意味付けの構築、3.この新しい理解の文脈の中で人生を送ること。
こうした枠組みを得ることで、治療の方針をわかりやすく可視化し、効果的なカップルセラピーを進めることが可能になります。
参考文献:Baucom, D. H., Snyder, D. K., & Gordon, K. C. (2009) Helping Couples Get Past the Affair. The Guilford Press.
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