円環的因果律という考え方があります。因果律とは、「原因と結果の関係」のことを指します。円環的因果律の知るためには、まず直線的因果律を理解する必要があります。
私たちはふだん、直線的因果律という考え方を採用しています。あることが原因である結果が起こった、という考え方です。
例えば、会社員の方がメンタル不調に陥ってしまい、出社が出来なくなったとしましょう。上司から叱られてストレスがたまったから、メンタル不調に陥った。これは直線的因果律の考え方です。上司に叱られたというのが原因で、メンタル不調が結果です。
一方で、家族療法家は、直線的因果律ではなく、円環的因果律の考え方を採用します。
これは、あることが原因である結果が起こるのですが、その結果自体が原因となって次の結果を引き起こし、その引き起こされた結果自体が原因となって次の結果を引き起こし、……、とつながって、最終的に引き起こされた結果が最初の原因そのものとなる、という考え方です。
具体的な例を考えるとわかりやすくなります。
ある会社員は、上司から叱られてストレスがたまりました。ストレスが溜まったので、メンタル不調になりました。メンタル不調になったので、仕事のパフォーマンスが下がりました。注意力散漫で、ミスを連発するわけです。その結果、上司から叱られます。叱られたのでストレスが溜まり、メンタルが不調になります。メンタルが不調になったので、仕事のミスが増え、上司から叱られ……。
このような理解の仕方を、円環的因果律と言います。
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