トラウマ・インフォームド・ケア(Trauma-Informed Care; TIC)というものがあります。これは、トラウマへの気づきと理解を統合した、哲学的・臨床的スタンスを指します。
TIC の明確な定義というものはありませんが、Hopperら(2010)は、TIC の4つの主要なテーマをまとめています。
1つ目は、《トラウマへの気づき》です。臨床家は、トラウマへの理解を自身の仕事に取り入れなければなりません。それは、どれだけ様々な症状や行動がトラウマ体験に適応するための方法として示されるか、ということを理解することです。スタッフの教育、コンサルテーション、スーパーヴィジョンが重要になります。
また、代理的なトラウマを扱い、セルフケアを行うことも大切です。クライエントの振る舞いによって引き起こされるセラピスト自身のトラウマがあります。
2つ目は、《安全性の強調》です。支援者と被支援者の双方にとって、物理的および情緒的な安全性がとても大切です。また支援者は、被支援者のもつ潜在的なトリガーに気づいて、再トラウマ化することを避けなければなりません。
関係性におけるトラウマは、バウンダリの侵害や権力による虐待をしばしば含むので、治療関係における役割とバウンダリを明確にしておく必要があります。
プライバシーに配慮し、守秘義務を守り、支援者・非支援者が相互に尊重することは、情緒的な安全さにつながります。
文化的な違いや多様性(例:ジェンダーや民族、性志向など)への配慮も重要です。
参考文献:Hopper, E. K., Bassuk, E. L., and Olivet, J. (2010) Shelter from the Storm: Trauma-Informed Care in Homelessness Services Setteings. The Open Health Services an Policy Journal, 3, 80-100.
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