この年齢の子どもは、親と子どもの役割が逆転することがあります。離婚後のひとり親家庭における役割逆転は、単なる親子関係の逆転といった単純なものではありません。
子どもが親に対して、保護者、恋人、助言者、調停者、親や親戚に対抗する戦友、さらには抑うつなどを防ぐ重要人物、というように、複雑かつ荷重な役割を担うことがあります。
親がいつまでも立ち直れず、こうした状況が長引いた場合には、子どもは本当の親のニーズを満たすことが出来ないことを悟り、大きな無力感や怒りを覚えます。親から離れようとしても、一方で親を見捨てることに対する罪の意識が生じてしまいます。
<親役割代行>という家族療法の概念があります。これは、大人が親役割を果たせない(果たしてくれない)時、子どもが自分で自分を慰めたり、文字通りに親の代わりを務めることを指します。子ども時代を早く諦めなければならないという意味で、子どもにとって害になり得ます。
身近な大人が子どもの親的な振る舞いに気づき、それを認めることがとても大切です。子どもの努力(忠誠心)が汲み取られることが、子どもを癒すのです。
参考文献:棚瀬一代(2010) 離婚で壊れる子どもたち 光文社新書
参考資料:中釜洋子(2008)子どものバランス・家族のバランス 第108回東京大学公開講座『バランス』資料
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